私がティーマスターになるまで③セイロンティー茶葉グレードレッスン

私がティーマスターになるまで③セイロンティー茶葉グレードレッスン

 今回は、セイロンティー(スリランカ紅茶)のグレードを確認する試験とレッスンをスリランカで受けた。

このカリキュラムが、私にとって超難問になり大混乱したのだ。

 

日本では文字と味でセイロンティーのグレードをある程度把握していたが、

ティーマスターになるには、茶葉を目で見て手で触るだけ。

目で見るのは、形状と色、手で触るのは茶葉の硬さである。

しかも、それを回答する時間は一瞬で求められる。

ボーっと考えている余地はないのだ。

呼吸が止まりそうなほど集中し、緊張する。

けれど、それを学ぶことは猛烈に楽しかった。

スリランカに滞在している期間繰り返し学んだことだ。

 

 

まず最初に、グレードの種類を先生が書き出して

「FBOP1、FBOP、FBOPFの見分けはかなり難しいから頑張るんだよ」と

楽しそうに笑っておっしゃった。

「グレードの評価は、考えるな・感じろ (no thinking, just feeling)。

 感じたものを一瞬で答える。

一瞬でも目の前の茶葉を考えたら全て分からなくなる。」と教えていただいた。

 

 

「 じゃあタイカこっちに来て!」と長いテーブルに呼ばれると、

そこには1つのグレードの種類が小さな箱に170個くらいズラーッと並べてあった。

 

「今日はPEKOE(ペコー)を見分ける練習と最後に試験をするから頑張ってね。」

と先生から指示があった。

 

いきなり実践!?とビックリしていると、

先生が「タイカには時間がないから急ピッチでどんどんやるよ。」と

笑いながらやり方を教えてくださった。

 

 

 小さな箱の中に入っている茶葉を左手に持っている紙の上に出し、一瞬でそのグレードの評価をして箱に戻す事を繰り返す。

 

指導してもらいながらゆっくりやっていると、紙の上から箱に戻すのが意外と難しく、茶葉をこぼしてしまった。

おっかなびっくり先生を見ると、

先生から「タイカの手は小さいな。」と言われ、紙のサイズをふた回り小さい紙に変えてもらった。

 

紙のサイズを小さくしてもらったら、なかなか手に馴染み良い感じになった。

 

「最初の4周はゆっくり見て茶葉と向き合ってみなさい、

そしてその後2周は素早く言葉に表す練習をしてから今日の試験をやるよ。」

と伝えられた。

そこから私と茶葉の時間が過ぎていった。

 

ゆっくり見よう見まねでやっていたのだが、想像以上に見分けるのが難しく

隣の箱と今持っている箱の茶葉の違いも分からず、うなだれていると。

 

「タイカ調子はどう?分からないことはある?」と

横から他の先生が声をかけてくれた。

 

私の拙い英語で「この茶葉は隣と何が違うのか。ほぼ同じなのになぜ悪い評価が付けられているのか」ということを質問すると、先生が紙の上に茶葉を広げて

「本当に同じに見える?」と聞かれ、私は見えるとうなずいた。

 

すると先生が、「あの茶葉のほとんどは若干太くねじれが取れているが、

この茶葉はほどんどねじれているからこの茶葉の方が評価が高いんだよ。」と教えてくださった。

 

茶葉一枚ずつの形状を見るのではなく、全体の形や色・纏まり方を見てやってごらんと優しく教えてくださった。

 

 どういう茶葉が良くて、どういう茶葉が悪いということを今まで注意深く見たり考えてみたことは無かった。

 

ただテイスティングをして自分が美味しいと納得するものを決めて輸入していただけで、茶葉の形状や色味なんて気にしたことがなかったからだと思う。

 

今回ティーマスターになるための勉強する機会をいただいて、

私自身が真剣に紅茶に茶葉に向き合えた瞬間だった。

 そして茶葉を見る目が広がった。

 

 

合計で6周目の最後あたりの箱のところで

先生から「タイカもう確認は済んだか?」と声がかかり、

「試験を始めよう!」とチェックシートのような物をもった先生に言われた。

 

「そんな緊張しなくても大丈夫、自分を信じてリラックスしてやってみよう。」

内心、心臓がバクバクしていた私に、先生がにこやかに言ってくれた。

 

試験のやり方は先生が適当に箱を手に取り茶葉を紙に落とし、

私に見せてきて一瞬で答えるという試験だった。

 

先生の茶葉を扱う手の動きが早すぎてついていくのに必死だった。

 

私が言葉が詰まり止まると、

すぐに「考えるな。見たものをそのまま言えば良い」と伝えられた。

 

 同じ茶葉をもう一度見せてもらいすぐに答えると、

「ちゃんと当たっているから自信を持ちなさい。」と笑いかけてくれた。

 

先生の笑顔は、最高にリラックスさせてくれる。

 

そして試験の最後に、先生が紙の上に適当に茶葉を広げ、

「今、この紙の上に5種類の茶葉を混ぜた。タイカはこのチェックシートの番号をみて、どの茶葉が混ざっているか当ててごらん。

ただし、この紙の上にある茶葉は触ってはいけない。」と問題を出された。

 

しかも答えられるチャンスは3回だけ。

制限時間20分でやってごらんと。

 

先程までとは比にならないくらい難易度が上がった試験だった。

 

なんとかこれかな?というものに丸を付け先生に提出すると、

「2つ当たっているけど、残り3つが違うねやり直し!」と言われた。

 

私の顔がくちゃくちゃになるくらい悩んでいると、先生は「タイカは良く表情が変わるな、実に面白い!」と笑いながら私を見ていた。

 

 もう一度丸を付け替えて、先生に提出をすると

「なんでこの茶葉を選んだの?」と聞かれた。

私は「似た茶葉があった気がする。」と答えた。

 

先生は満面の笑みを浮かべ、「タイカはさっきの試験ではあまり良い評価を付けなかった茶葉だけど、本当は良い茶葉だったからひっかけのつもりで入れたんだよ!よく分かったね」と言われた。

 

混ざっている茶葉をちゃんと当てられたことはもちろん嬉しかったが、

それ以上に紅茶(茶葉)に対して真っ向から向き合う事が出来たことがとても嬉しかった。

 

今までの私では茶葉を見分けると言えば、テイスティングで味しか見分けられなかった。

これからは茶葉の状態を見て見分けることが出来るようになった。

茶葉のグレードの授業では、自身のスキルアップにつながる学びが出来た。

今回とても良い経験が出来たと思う。

 

新しく知ることはとても楽しい。

もっともっとスリランカ紅茶が好きになった。

もっともっと学び続けたい。

まだまだ続きます。

 

私がティーマスターになるまで①はこちら!

私がティーマスターになるまで②はこちら!

 

 

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댓글 1개

「ディンブラでは常に美味しい紅茶が楽しめる」ので私が度々伺いたくなるわけなんです。
ティーマスターを志すまでは「自分が美味しいと納得する茶葉を輸入する」ことでよかったのが、これからの仕入れには現地スリランカで試す形、色味まで加わってくるとなると、ますます美味しい紅茶を提供いただけるわけですね。

しかし、ティーマスター研修(試験)の道は想像を絶するものがあるようですね。形状、色味、硬さを瞬時に目で見て触るだけ(小さな手で)で判定する、それも多種の茶葉があるわけですから気が遠くなりそうです。170箱も目の前に並ぶ光景は壮絶そのもの。毎年の茶葉の出来栄えも変わるわけですからマトリックスは⁉️
先ずはティーマスターの合格を祈ります。

私が感心してきたのは店主の泰果さんの紅茶への変わらぬ姿勢「偽りのない正直な真っ向勝負」です。紅茶だけでなく生き方そのものですかね。学べる方、愛する父上がおられなければ「原地」へ行くしかない、他に選択肢はないというこの心意気には感服、本物です。
これからは泰果さんに出来る「独特の表現」をもってお客様に分かりやすく紅茶を教えていただきたいと思います。
No thinking, just feeling いいですね、その事をこれまで通り常に表情に出して、これからも「小さな手」でリラックスして前に進んでください。また癒されに伺います。

TMori

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