この日の講義が最後まで実技の試験だと思っていなかった私は、宿泊先のホテルの部屋に帰り、いつもと変わらずゴロンと休んでいた。
私が本場スリランカでティーテイスターになりたいと申し出て、今回ティーマスターの資格を推薦してくださったスリランカ人のお父さんから、その晩に電話がかかってきた。
ハロー!と電話に出ると。
「タイカさん、おめでとう!試験に合格したと聞いたよ!やはり僕の目に狂いはなかった!」と突然言われ、私は何のことやら?まだ試験を受けたことに気が付いていなかったので、お父さんにすぐに返事ができなかった。
お父さんから「今日ティーマスターの試験を受けたのだろう?」と聞かれた。
そこでやっと私の脳が目覚め、今日の授業はもしかして試験だったの?とやっと分かった。
「え、私合格したのですか?」と、お父さんにおびえながら聞いてみた。
「知らなかったのか?」と、笑いながら驚かれた。
念願のティーマスターに合格できた喜びと、試験を受けたことに気が付かなかった自分に驚いてしまった。
そして、ここでやっと緊張し始め心臓がドキドキした。
スリランカの父から再び「おめでとう!」と祝福されたが、私は驚きのあまり声を出せずにいた。
すると、お父さんはふざけた感じに
「これはまだタイカさんに言ってはいけない事だったかもしれない!今言ったことは忘れてくれ!」と、急に電話口で焦りながら笑った。
いやいや、そんなことは無理だろうと思いながら、OK!OK!と笑いながら答えた。
この様に電話でさらっと実技試験の合格を伝えられたが、本当に私が合格したのか疑心暗鬼であり、ひとりホテルの部屋でソワソワしていた。
なんせこの瞬間まで、試験を受けていたことに気づいていなかったのだから。
ティーマスターになるまでには、紅茶工場の見学や紅茶の木の育て方、紅茶の歴史などを学ぶ必要がある。
私はコロナが終息してから2年間で、スリランカ各地域の紅茶工場・茶園数十カ所に訪問させてもらい、各工場長たちからひとつひとつ丁寧に紅茶製造の過程を教わってきた。
紅茶工場訪問は、過去のブログにもありますのでよかったら覗いて見てください!↓
その他、現在のティーオークションの形や紅茶の輸出を行っている、ブローカーさんのお仕事を学ぶ授業などがある。
コロナパンデミック直前のティーオークションでは、直接会場へ行き、
その場で値段を言い、競り落とすと言った日本の築地の競りのような感じだったが、現在では全てパソコン上で打ち込んで競り落とすように仕様が変わっていた。
なぜ変わったのか聞くと、すべてはコロナの影響で声を出さず出来るように、オンラインに変わったのだと先生が仰っていた。
現在のやり方のほうが、スムーズにオークションが執り行われているから
聞き間違えとかもなく、なにより会場に行かなくて良いというのが、実にやりやすいよと微笑んでいた。
確かにとてもシンプルなオフィス内でオークションが行われており、仕事がはかどりやすそうだ。
ティーマスターになるまでの感想
ティーマスターになることに今回挑戦させていただき、まさか私がティーマスターの資格を取れるとは思っていなかった。
自分のテイスティングスキルが本場でどれくらい通用するのかを知りたかったので、
スリランカのお父さんにお願いし、なにかそういった資格はないかと相談したところ、
「ティーマスターというものがあるよ」と教えて頂いた。
思わず勢いで「受けてみたい!」と懇願し、トントン拍子で挑戦することが決まった。
本当にテイスティングの資格だけを取るのかと思っていたため、まさか茶葉の形状や色などを見るグレーディングを含め全てのことを学ぶとは思っていなかった。
渡航1週間くらい前に授業のスケジュールを貰い、思わず目を見開いて驚いたことを今でも覚えている。
それでもこの先の人生、私は紅茶専門店ディンブラをやっていくと決意した上で、自分の能力を高めたい、価値を見出したい、だから一生懸命頑張ろうと思った。
今回、このような挑戦を受け入れてくれた先生方と、スリランカのお父さんには感謝してもしきれない。
ティーマスターになれた事、一生誇りを持って紅茶と共に生きていきたい。
その後、ティーマスターの 資格については、
既に合格していると先生から正式に伺ったので、資格証が届いたら紅茶専門店ディンブラの店頭に飾ろうと思っている。
現在、先生曰くティーマスターの資格証を、スリランカ国公認の紅茶局(通称:ティーボード)に申請中だそうだ。
資格証はいつ手元に届くのか11月末頃に聞いた時は、2024年年内中にはとのことだったが、案の定まだ届いていない。
やはりスリランカらしいなと思いながら、今日もまだかまだかと待っている。
私は私で日本人らしく、きっちりしている。(日本人の中ではとても緩いが。)
なので、いつもスリランカへの連絡はしつこい。
しかし、先生やお父さんは、こんな面倒な私に嫌な顔一つせずお付き合いして下さっている。
感謝の意をここに記しておきたい。