お久しぶりです!
ブログを書く時間があいてしまって、今回はティーマスターになるまでの最終回。
この最終回も案の定長くなり過ぎたので前半と後半に分かれることになった(笑)。
お付き合いください。
この日もいつも通り授業に向かうと、私と同じように勉強をしに来ているスリランカの生徒さんが溢れるほど教室にいた。
わぁ!すごいな今日は...と、びっくりしながら先生たちに挨拶していると、
「タイカ準備ができたらこっちに来てくれ!」と大きな声で名前を呼ばれ、
あまりの声の大きさと周りの生徒さんたちの視線に、少し恥ずかしくなりながら先生の所へ向かった。
いつもグレーディングをやっているテーブルに、
テイスティング用の茶葉が40〜50個くらい並んでいた。
先生から「テイスティング用の物を用意しているから、エプロンをつけたり必要なものを準備していなさい。」と伝えられた。
私は呑気に今日は人が多いから、ここでテイスティングをやるんだなと考えていた。
そんなことを考えていると、いつの間にか先生たちが集まって来ており、
なにやら私に分からないようにシンハラ語で話し合っている姿が見えた。
私は、なんだ?と思いながら、いつもは居ないスタッフのスリランカの人に話しかけられていたので、会話を楽しんでいた。
すると先生から、「タイカー!始めるからおいで」と声をかけられた。
スタッフさんに、頑張れと手を握られエールをもらった。
いつも通りなのに、はて?と思いながらも、嬉しかったので「サンキュー!」と返事をした。
先生たちが集まっていたテーブルに行くと、「じゃあテイスティングを始めよう。」と告げられた。
「今日はテイスティングの形を変えてみよう。
タイカが感じた水色、香り、味を伝えてくれ。こちらで書き留めるぁら。」
と先生は微笑んで仰った。
私は、「本当にいつもと形式が違うじゃん、え?一人でテイスティングをするの?」
と、多少困惑していた。
すると先生は「ゆっくりで良いから、落ち着いてやってごらん」と仰った。
今思えば、これは実技の試験が始まる合図だったのに、
あの時の私は何も気が付かず、今日の先生たちはいつもに増して優しいなと
考えていた(笑)
テイスティングを始めるといつもと変りなく、「これはディンブラだと思う。」
だとか、「キャンディだと思うけど、少し青っぽい香りが強い」とか、
先生に伝えていく私に対して、無言でその感想を先生は書きとめていった。
私もかなり集中しながらテイスティングに向き合っていたため気づいていなかったが、テイスティングが終盤に差し掛かったときに、ふと視線を他の先生や生徒さんたちに向けると全員が私を凝視していた。
それにビックリしていると、皆はわざとらしく動き出したのが面白かった。
まるでコントだ。
残り10個ほどのテイスティングになり再びテイスティングに向き合うと、
たぶん40人ほどの生徒さんたちの中で、私のコメントを言う声が静寂に包まれた教室に響いていた。
一通り私のテイスティングが終わると、先生にグッジョブ!と言われ、
休憩しておいでと別室に促された。
私は、不思議に思いながら少し軽食やスナックをつまんでいた。
スリランカのスナックは日本で言うところの、
コロッケやメンチカツのような食べ物が多く、その味はスパイスの効いた
辛味の強いものが多い。
紅茶と合うし食欲がわいてくる。
椅子に座って食べていると先生に呼ばれた。
「タイカ。テイスティングお疲れ様。よく頑張ったね。
次は、さっきタイカがコメントしたものを書きとめた紙を渡すよ。」
その後…
「今、このカップ数種類を混ぜたものを用意した。
これに入っている紅茶は何種類ブレンドしているのか、
タイカなりにグレードだけ見てブレンディングしてほしい。
ただし、また一つづつ茶葉をテイスティングするのは禁止だ。
このブレンディングした茶葉のテイスティングは3回までとする。」と、
いつになく真剣な眼差しで先生から告げられた。
私は、何だか複雑で難問に入ってきたなと思ったが、この時点でもまさか試験だとは思わなかった。
今日は変わった授業をやるなぁ、面白いと考えていた。
普通はもしかして試験かな?と思うはずなのに、なぜ私はそう思わなかったのか、
あの頃の私を思い出すと今でも謎である。
そんなことは置いておき、今日は面白いなぁとワクワクしていた私は、早速1回目のテイスティングを行った。
まず何種類ブレンドしてあるのかを頭の中で整理し、だいたい5種類くらいの風味を感じたので、先生を見つめた。
すると先生は「タイカ何種類ブレンドしてあると思う?」と、案の定聞かれた。
「たぶん5種類だと思う。」と答えると、「これは7種類ブレンドしている。」と告げられた。
7種類も?!とビックリしていると、若干クリームダウンを起こしつつあるテイスティングカップがどんどん捨てられていった。
その光景にもビックリし、早く選ばないと捨てられてしまう!と慌てた。
急いでなんとか7種類選び、先生に紙を渡すと早速私が選んだ茶葉のブレンドする割合計算を始めた。
「なんでこの茶葉を選んだんだ?この7種類のバランスを、どの茶葉が主体なのかを教えてくれ。それを元に計算し早速淹れてみよう。」と仰られたので、
「この茶葉の風味を若干強く感じたので、これがメインだと思う」と伝えた。
すると、先生たちがテイスティングセットを持参し集まってきた。
先生がブレンドしたテイスティングカップの横に、私が選びブレンドされたテイスティングカップが並ぶ。
抽出された紅茶の色味は私がブレンドしたほうが若干薄く、赤みよりオレンジ色が強く出ていた。
その時点で、私はあぁ、これは違うだろうなぁと考えていた。
しかし先生たちは、無言でテイスティングを始め、なにやらシンハラ語でこそこそと話し合っていた。
どうだったのだろうか?と考えている私をよそに、
何も告げられないまま、先生はまた別のブレンドしたカップを2つ持ってきた。
「タイカは、この2つのブレンドも今と同じようにブレンドしていてくれ。」と
仰った。
私は同じような作業をなんの疑問を持たずに集中した。
残りの2つも先生に提出すると、先生たちは同じようにブレンドし、テイスティングを始めた。
しばらくして、それを少し離れたところから見ていた私を先生が呼んだ。
「タイカ、よく頑張ったね。3つともブレンドした種類ともよくできていたよ。
ブレンドに使用した茶葉は全て当たっていた。タイカは本当に良い味覚を持っているね。」と、微笑みながら褒めてくれた。
私は、びっくりしてしまい、「本当に?」と聞き返してしまった。
先生は「先生がブレンドした茶葉より美味しかったのが悔しいよ。」と、うなだれていたのが印象に残っている。
ちょっぴり嬉しかった。
後半に続く…。