私がティーマスターになるまで④ブレンディング(前半)

私がティーマスターになるまで④ブレンディング(前半)

 

この日は、茶葉のブレンディングの授業を受けた。

セイロンティー(スリランカ紅茶)のみのブレンドティーと、ハーブやスパイスを使用したブレンドティー作りだ。

 

紅茶専門店ディンブラでもオリジナルブレンドティーを作っている。

紅茶の仕事で大好きな分野のひとつだ。

紅茶の本場スリランカではどのようにブレンドティーを作っていくのだろうかと考えると、とてもワクワクする授業だった。

 

 

まず最初に、先生が既に用意していてくれたテイスティングボウルには、

紅茶専門店ディンブラで現在使用しているスパイスやハーブが多かった。

それもそのはず!

スパイスはスリランカから輸入しているから、見慣れているのかと気が付いた!

 

しかし、スパイスやハーブをセイロンティーのテイスティングと同様に、

長く濃く抽出したものをテイスティングしたのは初めての体験だった。

先生から「じっくりテイスティングをしてみなさい。そしてタイカが感じた味、香りの特徴を紙に書いてくれ」と言われた。

 ひとつひとつ抽出された液体の色、香り、味をテイスティングで確かめていき、

 ゆっくり丁寧にテイスティングをおこなった。

すると今まで感じたことのないハーブやスパイスの強さがあることを知った。

 

全てのテイスティングをおこなった後、

先生から「よし!これからタイカの創造力でブレンドティーを作ってみよう。」

 

「ただし、ハーブやスパイスを選ぶときは自分で感じたメモを見ながらやってほしい。二度目のテイスティングは無しでやってみよう。」

とニマニマと先生が笑っていた。

どのハーブとスパイスを使用するのか、主体となるハーブをまず選んでみたり、アクセントに使えるスパイスを選んだり自分で考えるのがとても楽しかった。

 

普段、お店でブレンドティーを作る時は、ハーブとスパイスだけでなく紅茶(セイロンティー)を一緒にブレンドしているため、ハーブとスパイスだけでブレンドティーを作るのがとても新鮮だった。

 

 真剣にどれを使おうか迷っていると、先生が近づいてきて

「そんなに悩んでないで、グレーディングの時のように直感で選びなさい。」とアドバイスをくださった。

 

「タイカは好きなことになると集中力がすごいな!だけど時間がかかりそうだからこの中から5種類選んでそれをブレンドしよう。今日やるのはこれだけじゃないからな!」と先生は苦笑しながらおっしゃった。

 

私は授業が始まってから未だ30分程しか経っていないだろうと思い、焦って教室にある時計を見ると、なんと1時間半も経っていたのだ!

私が時計を見てビックリした顔をしていると、先生たちが微笑みを浮かべてこちらを見ていた。

「すぐに選びます!こんなに時間が経っているとは思ってもいなかったです!」と伝えた。

 

パッと目についたハーブやスパイスを5種類選び、先生にこれらにしますと伝えると、

先生は急に「スリランカには今回どのくらい滞在しているんだ?明日、日本食一緒に食べに行くか?」と聞いてきた。

私はえ?どうしてそんなことを急に聞いてきたのか?と困惑していると、

今回スリランカに長期滞在をしたことにより、私が無意識に選んだ5種類のハーブやスパイスは先生によると、全ての効能が胃もたれや疲労感を癒す効能があるそうだ。

 

そして先生が今回の滞在でティーマスターになるための授業を日程にぎっしりと入れてしまい、私の体調が心配になったと仰った。

 

私はなるほどと納得し、このメインで選んだハーブの香りに惹かれて、テイスティングをするとそこまで主張が強くなかったので他の種類と調和が取りやすいと思った。そして「ご心配ありがとうございます」と微笑んで伝えた。

 

 すると先生は胸をなでおろすような仕草をし、

「じゃあ早速ブレンドをしていこう。

ブレンドは種類問わず何対何というバランスが大切。

これらをどの割合で入れるか計算しながらブレンドをしていくんだ。

いつ、誰が作っても同じ味が作れるように計算することが重要なんだ。」

計算式と電卓を渡され急に算数の授業が始まった。

 

しかしこの計算が地獄で、

先生と同じように計算をしているのに先生と答えが合わず、

先生に「タイカ、もしかして計算苦手なのか?それとも機械音痴なのか?なんで合わないんだ?そんなに難しい式でないのに...」と質問攻めにされた。

私は、逆になんでこんなに合わないのか聞きたいという顔で、

先生に「どちらも正解です。計算も苦手ですし、機械も苦手です。」と伝えると

声を上げて先生が大笑いしていた。

 

 「じゃあ、タイカのオリジナルブレンドでは同じブレンドの味にするときどうやっているんだ?計算はその様子だとしていなさそうだし…」と先生に聞かれた。

私は「毎年輸入している茶葉の味や香りが変わるのでその都度、

テイスティングをしながら茶葉の割合を少しずつ変えています。」と答えた。

すると先生は「それは我々本職の人間でもなかなかやらない骨の折れる仕事だな。ブレンダーとテイスターの仕事を一人でやってるなんて、すごいな!」

と驚いた表情で仰った。

 

その後、どんなに計算しても答えが合わない私の計算を捨て、 

先生が計算してくれた割合でブレンドをすることになった。

 順調にブレンドしていき、これで完成だ!と考えていると、

先生から「ブレンドできたらこれにフレーバーのエッセンスを2種類加える。好きなの嗅いで選んで。」と言われた。

 ...。

 

ああ、話が止まらい…

 長くなるので後半に続くのだ…。

 

私がティーマスターになるまで①

私がティーマスターになるまで②

私がティーマスターになるまで③

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